ブログ家づくり学
2025/02/10
旗竿地とは?後悔しないために知っておきたいポイント

旗竿地(はたざおち)は風通しの悪さや日当たりの悪さ、通路の狭さ、工事費負担が大きいことから、後悔する方も多い土地です。しかし、設計や土地選びを工夫することで、家族がのびのびと暮らせる家が予算内で入手できるケースもあります。
この記事では、旗竿地の特徴やメリット・デメリットを紹介しています。また、旗竿地を有効に活用するポイントや後悔しない土地選びのコツも触れているため、ぜひ参考にしてください。
旗竿地のよくある後悔ポイント
旗竿地とは、道路に接する間口から細長く伸びた路地の先にある奥まった土地のことです。路地部分も敷地面積に含まれ、全体の形が旗のように見えることから旗竿地と呼ばれています。路地が竿にあたり、奥に広がる敷地が旗の部分です。
旗竿地は、一般的な土地とは異なる特殊な形状のため、家を建てる際には独自の課題や制限が発生します。以下で、旗竿地を購入した方が後悔した事例を紹介します。
日当たり・風通しの問題
旗竿地でよくある後悔のひとつに、日当たりや風通しの悪さがあります。旗竿地は、隣接地の建物に取り囲まれているため、十分な日光が入りにくい特徴があります。
湿気がこもりやすく、結露やカビ対策を考えなければなりません。建築基準法が規定する採光義務(自然光を十分に確保できる窓を設けること)を満たさなければならないため、設計が難しくなるのも難点です。
駐車の不便さ
旗竿地では、駐車のしづらさも課題のひとつです。奥の敷地の形状によっては、駐車スペースを十分に取れない場合があり、その場合は路地を駐車スペースとするケースも少なくありません。
ただし、通路幅が狭い場合、車の出し入れが難しくなります。運転技術に自信がない場合、車を擦る、隣地の壁にぶつけてしまうなどのリスクが高まります。また、旗竿地では縦列駐車となることが多いため、2台駐車する場合は奥側の車を出す際に手前の車を動かさなければならず、手間がかかります。
ほかにも、来客用の駐車スペースを取れないときは近隣の駐車場を利用してもらう必要があり、車を買い替える際にはサイズの制限があるなどの問題もあります。
防犯面の不安
旗竿地では、防犯面の不安も大きな懸念点です。建物は路地の奥にあるため、道路から敷地内の様子が見えにくくなっています。
そのため、敷地内に死角ができやすく、侵入者が入りやすい環境となってしまう可能性があります。窃盗被害のリスクや、見知らぬ人が無断で路地に入り込むといったトラブルにつながるおそれがあります。
工事費用の増加
旗竿地は特殊な形状をしているため、路地が狭く、トラックや重機などの大型車が敷地内まで入るのが困難です。そのため、建築工事の費用が通常よりも高くなる傾向があります。資材を人力で運ぶ必要があるため、作業に手間がかかる分、人件費が上乗せされて工事費用が増加します。
旗竿地のメリット
旗竿地はデメリットばかりが注目されやすいですが、実はメリットも多い土地です。工夫次第で快適な住まいを実現できる場合も多く、旗竿地ならではの魅力を活かせます。ここでは、旗竿地の主なメリットについて紹介します。
比較的安価に購入できる
旗竿地は不整形地に分類されるため、比較的安価で土地を購入できるのがメリットです。不整形地とは、正方形や長方形といった整形地に比べて、形状がいびつで利用に制限がある土地のことです。
土地売買の際は、土地が不整形地か整形地であるかで区別され、整形地の方が高値で取り引きされます。旗竿地には、採光や換気の効率が悪いことや、路地に建物を建てられないという課題や制限があるからです。
建物を建てられるスペースが少なくなる分、同じ面積の整形地と比べて価格が抑えられます。たとえば、面積100㎡(路地部分20㎡を含む)の旗竿地と、面積80㎡の整形地がどちらも同じ額で売られているように、見た目の広さに対してお得に購入できるのがメリットです。
路地部分を活用しやすい
旗竿地の路地に建物は建てられませんが、アイデア次第でさまざまな活用が可能です。路地の幅が十分にあれば、駐車スペースとして利用できるため、別途駐車場を確保する手間や費用がかかりません。自転車やバイク置き場としても便利です。
安全面に配慮してフェンスを設ければ、子どもの遊び場やペット専用のスペースとしても利用可能です。路地部分をプライベートな空間として活用できるのは、旗竿地ならではのメリットといえます。
また、高さ制限がゆるやかな土地であれば、3階建ての建物を建てられる可能性もあります。旗竿地では、路地部分も敷地面積に含まれるため、容積率を有効に活用できるからです。
容積率は、延べ床面積÷敷地面積×100で求められ、出た数字によって建てられる建物の階数が分かります。たとえば、敷地全体が100㎡で容積率が300%の場合、300㎡まで建築可能なため、3階建ても視野に入ります。このように、路地部分を工夫して活用すれば、旗竿地ならではの利点を存分に引き出せます。
道路の影響を受けにくい
旗竿地は住宅部分が道路から離れているため、道路の影響を受けにくいのが特徴です。車や自転車の音、通行人の話し声が届きにくく、騒音問題を軽減できます。とくに、都市部や交通量が多いエリアでは快適性が高く感じられるでしょう。
また、道路沿いに家を建てる際に、注意しなければならないのが子どもの飛び出し事故です。普段から気をつけてはいても、好奇心旺盛な子どもの場合、うっかりと車道に飛び出す危険性があります。
旗竿地では道路から距離があるため、子どもが遊ぶ際にも道路に飛び出すリスクが軽減されます。静かで安全な環境を求める方にぴったりな土地です。
プライバシーを守りやすい
旗竿地では建物が道路から離れているため、プライバシーを守りやすいのが特徴です。道路に直接面している整形地に比べて、通行人や走行車からの視線が建物に届きにくいからです。
とくに、都市部や人通りの多いエリアでは大きなメリットでしょう。ほかにも、洗濯物を干しやすいという利点もあります。
旗竿地の選び方
旗竿地を選ぶ際は、間口の広さや将来的な資産価値へ注目しましょう。以下で、旗竿地購入を成功させるためのポイントを分かりやすく解説します。
間口は3m以上あるか
旗竿地を選ぶ際は、道路に面した間口が3m以上ある土地を選びましょう。建築基準法では、道路に接する間口は最低2m以上必要とされていますが、駐車スペースを考えると3m以上が望ましいです。
通路幅が2mでは車の乗り入れや人の通行が難しくなるおそれがあります。国土交通省では、普通自動車の駐車スペースには2.5mが必要とされており、実際のスーパーやコンビニの駐車スペースも2.5mです。そのため、3mの間口があれば、人が車の横を通りやすくなり、車の出し入れも楽になります。
資産価値はあるか
旗竿地は、将来的な売却に備えて資産価値の高い土地を選ぶことが大切です。土地を購入する段階から資産価値を意識することで、将来の売却時に有利になります。
旗竿地は不整形地のため、土地売却時にマイナス評価される部分もありますが、立地条件がよければ資産価値を高められます。
たとえば、駅やバス停に近い、繁華街や大都市へのアクセスが良好、乗り換えが便利な場所などは高く評価されるでしょう。また、周辺に生活に必要な施設が整っている、治安がよいなどもプラス評価になります。
旗竿地を快適に活用する工夫
旗竿地は風通しや日当たりの悪さ、駐車のしづらさ、防犯リスクが課題です。しかし、適切な工夫や対策をすることで、デメリットを解消し、旗竿地ならではのメリットを最大限に活かせます。
採光・風通し
旗竿地でよく問題になる日当たりや風通しは、設計や間取りの工夫で改善できる可能性があります。たとえば、高さ制限がゆるやかな土地なら、路地部分を容積率に加えることで、3階建てを建てられます。
3階に大きな窓やバルコニーを設けることで、明るさと風通しを確保できるでしょう。もし、高さ制限が厳しい場合は、1階の庭に面した窓を大きくする、吹き抜けや高窓、勾配天井を取り入れることでも、採光や通風を改善できます。
駐車スペースの考え方
旗竿地では、駐車のしやすさを考えて路地部分の幅を考慮しましょう。路地の幅が狭いと、車のドアを開けられない、人が車の横を通れない可能性があります。
先述のとおり、国土交通省の資料では、駐車スペースの目安として軽自動車は幅2m・普通自動車は幅2.5mとしています。ただし、普通自動車をスムーズに駐車するには、少なくとも3mの幅があると安心です。
路地の幅が3mあれば、車の出し入れがしやすく、重機やトラックも通れるため、建築工事の際の費用を抑えられるというメリットもあります。
また、車の長さも考慮が必要です。普通自動車の平均的な長さは約4.7mあり、前の道路が狭いと車の出し入れが難しくなる場合があります。快適に暮らすためにも、駐車スペースの広さや前面道路の幅は確認しておきましょう。
防犯・プライバシー対策
旗竿地で安心して快適に暮らすためには、防犯対策とプライバシーの確保が大切です。たとえば、路地や家の周りにセンサーライトを設置すれば、不審者の侵入抑止効果が期待でき、異常があれば近隣にも気づいてもらえます。
歩くと音が鳴る防犯砂利を玄関周りや窓の下に敷くと、不審者の侵入を察知できます。ドアや窓には防犯ガラスや電子ロック、補助錠を取り付けることで、安全性を高められるでしょう。
また、旗竿地では、近隣との距離が近いことが多いため防音対策も大切です。外からの音を遮るだけでなく、室内から漏れる音にも気を配ることで、近隣の方々と良好な関係を築けるでしょう。
たとえば、内窓や複層ガラスを取り付ければ、外の騒音を防ぎながら、室内の音が外に漏れるのも抑えられます。また、フローリングの床に防音材を敷くと、足音や物音が響きにくくなります。
こちらの記事では、土地購入の注意点について解説しています。最適な土地を見つけるポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
旗竿地は、一般的な土地に比べて購入価格が抑えられる点が魅力です。コストを抑えながら家を建てたいと考えている方にとって、候補に入れやすい土地といえます。
採光や風通しが悪くなりやすいなどの課題がありますが、設計の工夫次第で解決も可能です。たとえば、大きな窓や吹き抜けや高窓、バルコニーを活用してたっぷりと自然光を取り入れ、風が通り抜ける快適な空間をつくれます。設計が優れていれば、旗竿地でも明るく風通しのよい住まいを実現できます。
さらに、土地を選ぶ際には資産価値にも目を向けることが大切です。将来、土地や家を売却する可能性があるなら、立地や周囲の環境、土地の形状などをチェックし、資産価値の高い土地を選ぶようにしましょう。
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