ブログ家づくり学
2025/02/10
断熱性能はなぜ重要なの?断熱等級やUA値・ZEHについても紹介

家を建てる際に、断熱性能が大切とよく耳にするものの「本当にそこまで効果があるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。近年では、等級6や7の高断熱住宅が普及し、さらにZEHも注目されています。そのため、選択肢が増え、どれを選べばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、断熱性能の基本的な仕組みやその効果を分かりやすく紹介しています。さらに、断熱等級の違いや、UA値・ZEHについても紹介しているため、住宅選びの参考にしてみてください。
断熱性能とは?なぜ家の断熱が重要なのか
断熱性能とは、室内の温度を一定に保つために、外部との熱移動を制御する性能のことです。熱の出入りを遮断するため、夏は外からの熱が入りにくく、冬は暖房で温めた空気を逃がしません。
断熱性能は、建物からの熱の放出しやすさと日光の入りやすさから測定され、性能が高いほど、外の温度の影響を受けづらく、家全体の温度を一定に保てます。家の快適さや住む人の健康が守られるため、断熱性能の高い家が今注目されているのです。
断熱性能が家に与える影響
断熱性能が高い家は、快適さが増すため、健康にもよい影響を与えます。冬は家全体が暖かく、夏は涼しいため快適です。また、室内とトイレや浴室などの温度差が少ないため、ヒートショックや熱中症を予防できます。
家の空気の質が改善されることで、アレルギーや花粉症、喘息の予防にも効果的です。断熱性を高めることは、家族の健康を守ることにもつながります。
さらに、断熱性を高めることで、エネルギー効率がよくなり、光熱費を削減できます。外の熱の影響を受けにくくなるため、1台のエアコンで家全体を効率的に温めたり、冷やしたりすることが可能です。
断熱性能に関する法律・制度
2025年4月以降、すべての新築住宅と非住宅には、省エネ基準適合が義務化されます。そのため、新しく家を建てる場合は、断熱性能に関する法律を理解しておく必要があります。
省エネ基準適合は、エネルギー消費を減らし、地球温暖化を防ぐことを目的として設けられました。家を建てる際は、断熱性能やエネルギー消費量が定められた基準を満たしているかを確認するため、2025年4月以降は、断熱等級3以下の住宅は建てられなくなり、断熱等級4が最低基準となります。
さらに、2030年以降の省エネ基準適合の等級は、断熱等級5以上と見込まれています。これは、ZEH水準に引き上げられるためです。これから家を選ぶ際、断熱性能は非常に重要な要素となるので注意しましょう。
断熱性能を評価する「断熱等級」とは
断熱性能を調べる際によく目にするのが「断熱等級」です。断熱等級は1〜7までありますが、それぞれ断熱性や省エネ効果にどれほど違いがあるのでしょうか。ここでは、断熱等級について説明し、その関連で重要なUA値やZEHについても解説します。
断熱等級の指標
現在、住宅の断熱性能は断熱等級という基準で評価されています。断熱等級とは、住宅の省エネルギー性能をランク付けしたもので、品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)にもとづいて規定されています。以前、断熱等級は1〜4まででしたが、2022年に新たに等級5〜7が追加され、現在は1〜7まであります。
断熱等級が高いほど、断熱性能が優れていることを意味し、冷暖房効率が上がります。冬場の暖房効果を検証したところ、断熱等級4から5にすると室温が2度上がり、5から6にすると3度上昇、6から7にするとさらに2度上昇するというデータもあります。
また、断熱等級が上がるほど、エネルギー消費を抑えられます。たとえば、断熱等級4から5に上げると約20%、4から6にすると約30%、4から7にすると約40%の省エネ効果が期待できるため、断熱等級を上げることは、快適さだけでなく、家計や環境にも優しい選択です。
UA値やZEHと断熱等級の関係性
UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅の断熱性能を評価するための基準です。家全体からどのくらいの熱が逃げるかを、窓や外壁などの外側の部分で測り算出します。
UA値の値が小さいほど、建物の熱の出入りが少なく、断熱性が高いことを意味します。すなわち、断熱性能がよい住宅ほどUA値は低くなります。
一方、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高断熱性能を備えたうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用することで、快適な室内環境を保ちながら年間のエネルギー消費量ゼロを目指す住宅のことです。
ZEHは省エネルギーを実現し、地球環境に優しい家を作ることを目的としています。ZEHを達成するには、断熱等級5以上の高い断熱性能が必要です。
省エネ基準適合に関するポイント
新しい家を建てる場合、建物全体が省エネ基準を満たしている必要があります。増築の場合は、増えた部分が基準を満たしていれば問題ありません。一方、修理や模様替えなどのリフォームは、省エネ基準適合を求められません。
建築主は、適合を目指す努力義務がある点にも注意しましょう。建物が省エネ基準を満たしていない場合、建築確認の許可が下りません。
これにより、工事の開始が遅れるだけでなく、完成後の入居予定日にも影響をおよぼす可能性があります。買い主も、より高い省エネ性能を実現するための設計や設備導入の検討を求められるということです。
地域別の基準に注意
日本は地域によって気候が大きく異なるため、気候条件にもとづいて1〜8の地域に分かれており、それぞれの地域に合わせたUA値の基準が設定されています。
たとえば、北海道や東北の寒い地域と、九州や沖縄の温暖な地域では、必要な断熱性能が異なります。そのため、寒暖差や気候条件に合わせて、地域ごとに最適な基準が設定されています。
断熱性能が高い家のメリット
断熱性能が高い家は、冷暖房をフル稼働させる必要がないため、自然なぬくもりや涼しさを感じられ、健康や家計に優しいのが魅力です。以下で、高断熱住宅のメリットを紹介します。
一年中温度差が小さく快適に過ごせる
断熱性が低い家は、外の温度の影響を受けやすく、窓や天井から冷気や熱が伝わってくるため、室温以上に夏は暑く、冬は寒く感じます。
一方、断熱性能が高い家は、外気の影響を受けにくいため、室内の温度が安定しています。そのため、冷暖房のある部屋から一歩出ても、温度変化が少なく、極端に寒い、暑いと感じません。
家全体が均一に快適な温度で保たれるため、どの部屋でも快適に過ごせるだけでなく、アレルギーや喘息といった気管支の弱い方にもおすすめです。
ヒートショックになりにくい
高断熱住宅では、建物内の温度が一定に保たれるため、ヒートショックの発生を防ぐことができます。
ヒートショックとは、温度差によって血圧が急激に変動し、心臓や血管に負担がかかり疾患を引き起こすことをいいます。この血圧の乱高下にともなって、脳内出血や心筋梗塞、脳梗塞などの病気が起こります。
ヒートショックは、血圧の急変による意識障害を引き起こす場合もあります。断熱対策が不十分な場合、冬に暖かいリビングから冷えた脱衣所へ移動し、熱い浴槽に入ることで激しい温度差によりヒートショックが起き、最悪のケースでは浴槽で溺れるといったリスクも考えられるでしょう。
一方、高断熱住宅は家全体の温度が安定しているため、トイレや洗面所、浴室など、暖房を使わない部屋でも、急激な冷え込みを防げます。
光熱費削減につながる
断熱性能が高い家は、エネルギー消費を抑えられるため、光熱費の削減につながります。断熱性が低い家では、熱の出入りが激しく、冬は冷気が室内に入り込み、夏は外の熱がこもりやすくなります。冷暖房効率が悪いため、冷暖房を頻繁に使わなければならず、光熱費が高くなります。
一方、断熱性が高い家では外気の影響を抑えられるため、室内の温度変化が少なくなります。家全体が快適な温度を保ちやすくなるため、冷暖房の使用頻度が減り、光熱費を抑えられます。
資産価値が高くなる
断熱性能をはじめとする省エネ性能が高い家は、需要が高いため、資産価値を高い状態で長期的に維持できます。また、結露の発生が減少することで、建材の劣化を抑えられ、家の状態が良好に保てるため、長期間にわたり資産価値の維持が可能です。
断熱性能が高い家を建てるポイント
高断熱住宅を建てる際は、適切な断熱工法を選ぶこと、高性能な断熱窓やドアの設置、気密性と換気システムの整備が重要です。以下で詳しく紹介します。
断熱工法
木造建築の断熱工法には、大きく分けて「充填断熱」と「外張り断熱」の2種類あります。充填断熱は、柱などの構造体の間に断熱材を詰める工法です。
充填断熱は、木造住宅で広く採用されており、外壁と内壁の間を利用するため、追加で断熱スペースを作る必要がありません。外張り断熱に比べてコストが抑えられるのもメリットです。
ただし、壁の内部には配線や筋交いがあるため、隙間なく断熱材を詰めるには丁寧な施工が必要です。加えて、柱と断熱材の間に隙間ができると結露の原因になるため、防湿フィルムや気流止めの施工が必要となり、こちらも高度な技術が求められます。
外張り断熱は、建物の構造体の外側から断熱材を貼り付ける工法です。外側から建物を覆うため、柱や筋交いを避ける必要がなく、隙間ができにくいのが特長です。また、外壁と内壁の間に空間が残るため、配線や配管のダクトスペースを確保しやすくなります。
一方で、断熱材の重さで外壁が垂れ下がるおそれがあるため、断熱材の厚さに限界があります。地震などによりゆるんだり、変形したりするリスクがある点や、充填断熱に比べてコストが高くなる点もデメリットです。
それぞれメリット・デメリットがあるため、費用や気候、施工会社の得意分野を考慮して選ぶとよいでしょう。
窓や扉の断熱性能にも着目する
家の断熱を検討する際には、窓や扉の断熱性能も重要なポイントです。窓は外壁や屋根に比べると、建物全体に占める面積は小さいですが、熱の出入りが最も激しい部分です。
冬季は、建物内で失われる熱の約50%が窓から逃げているといわれており、熱損失割合が外壁の約20%、床の約10%に比べてもかなり高いです。
一方、夏季は室内に入る熱の約74%が窓から侵入します。つまり、季節を問わず快適な室内環境を維持するためには、窓の断熱性能を高めることが不可欠です。
高性能な断熱窓を採用すれば、外気の影響を受けにくくなり、夏は涼しく、冬は暖かい室内を実現できます。また、エネルギー効率が向上するため、冷暖房費の削減にもつながります。断熱性能を考える際には、窓や扉の性能にも注目しましょう。
気密性や換気システムも重視する
断熱性能を高めるには、気密性と換気システムの両方を重視しましょう。どれほど断熱性が高くても、建物に隙間があれば熱の出入りが発生し、断熱効果が損なわれてしまいます。そのため、建物の気密性が重要なのです。
しかし、気密性が高いと、屋内に熱や湿気を閉じ込めてしまうため、カビやダニが発生したり、結露しやすくなったりする可能性があります。そのため、断熱性の高い家を建てる際は、換気システムをあわせて検討する必要があります。
換気システムは、清潔な空気環境を維持するためには欠かせません。室内の臭気や二酸化炭素を効率よく排出し、塵や花粉の侵入を防いでくれます。
適切な換気を行うためには、給気と排気のバランスを取ったうえで、効率的に空気が循環するように窓や開口部の配置を考えることが重要です。気密性と換気システムを適切に設計・施工することで、断熱性能が高く、快適な住環境を実現できます。
高断熱住宅のノウハウが豊富な業者を選ぶ
高断熱住宅を建てるには、高度な技術や設計が必要となるため、豊富な経験と実績を持つ業者に依頼することをおすすめします。
高性能な断熱材を使用しても、施工が不十分で隙間ができると、断熱性が十分に発揮されません。高断熱住宅には、丁寧で正確な施工が求められますが、断熱材の取り付けや仕上げの完成度は、現場で作業する職人の技術力に左右されます。
施工実績が多く、高断熱住宅についてのノウハウをもつ業者を選び、理想の高断熱住宅を手に入れましょう。
こちらの記事では、長期優良住宅の認定を受けるメリットについて解説しています。デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
断熱性能が高い家は、熱の出入りを防ぐため、一年中快適な室内環境を保てます。建物内の温度差が小さくなることで、ヒートショックや熱中症の予防に加え、喘息やアレルギー症状などの改善も期待できるのが大きなメリットです。
また、冷暖房効率が向上するため、光熱費の削減にもつながります。断熱性能を高めるには、断熱性の高い建材の使用だけでなく、気密性や換気システム、高度な施工技術が求められます。平松建築は、これらを徹底的に追求した家づくりを行っています。
平松建築では、優れた通気性と断熱性を実現するために、通気断熱WB工法を採用しています。湿気をうまく逃がしつつ、快適な温度を保つ仕組みです。断熱等級5以上を標準とし、ご希望に応じて断熱等級6の仕様にも対応可能です。
住まいづくりに役立つ資料請求やオンライン相談も受け付けているため、当社のホームページからお気軽にお問い合わせください。