職人社長の家づくり工務店
2025/02/19
【注文住宅】窓選びで後悔する前に確認すべきポイントをプロが解説

注文住宅の窓選びを誤ると、後悔につながることも少なくありません。家の断熱性をあげるためにも、窓の性能についてきちんと知っておく必要があります。本記事では窓の種類と基礎知識、断熱性や窓選びのポイントについて解説します。
【この記事で分かること】
・注文住宅の窓の種類
・それぞれの窓による断熱性能と体感温度の違い
・後悔しない窓選びのポイント
【動画で確認したい人はこちら】
こんにちは!平松建築株式会社です。
私たちは、浜松市、磐田市、袋井市、掛川市を中心に、高耐震・高耐久で圧倒的な空気環境を誇る、トータルコストでお得な家づくりをお手伝いしています。これらの地域で安心・快適な住まいをお考えの方は、ぜひ私たちにご相談ください!
注文住宅の窓選びは重要です。光熱費が高騰する近年では、電気代の削減のためにも、より気密性・断熱性に優れた注文住宅が求められています。間違った選び方をすると、家の断熱性や気密性を損ない、後悔してしまうでしょう。
この記事では、注文住宅の後悔しない窓選びについてご紹介します。窓の大手メーカーであるYKK APさんの品川・体感ショールームを巡りながら、窓の種類からそれぞれの特徴や断熱性、体感温度についてもしっかりと解説します。
これから家づくり検討中の方や、現状で窓の寒さ・暑さにお悩みの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。動画の方もご覧ください!
注文住宅の窓選びで後悔しないための基礎知識
住宅に用いられる窓にはさまざまな種類があります。1年中快適に過ごすためには、環境にあった窓選びが大切といえるでしょう。窓選びを間違うと、冬は寒く夏は熱いという、快適性に欠ける家になってしまいます。
現在住宅に用いられている窓は、単板ガラスのアルミサッシ・ペアガラスのアルミサッシ・アルミ樹脂複合サッシ・ペアガラスの樹脂サッシ・トリプルガラスの樹脂サッシの5つです。まずは、それぞれの窓の特徴をご紹介します。
アルミサッシ(単板ガラス)
昔から使用されているのが、単板ガラスのアルミサッシ窓です。アルミサッシはコストが低く、軽くて耐候性(自然環境への耐久性)が高いことから広く流通していました。1㎡あたり1℃の温度差がある場合、何Wの熱が逃げるのかを示す熱還流率は、6.51W/(㎡・K)です。
後でご紹介する窓に比べて熱還流率が非常に高いため、結露しやすく熱が逃げやすいという特徴があります。その半面、既製品のなかではコストが低いため、導入しやすい窓といえるでしょう。
アルミサッシ(ペアガラス)
アルミサッシに、ガラスを2枚組み合わせた窓です。単板ガラスのアルミサッシに比べて、窓がペアガラスになっており、熱還流率は4.07W/(㎡・K)になります。ガラスが1枚か2枚かだけでもかなり大きな違いが生まれ、外部との温度差は3~4℃程度となります。
ガラス部分に差は生まれるものの、アルミのため、フレーム部分は熱伝導率が高いのが特徴です。そのため、窓全体ではなく、フレーム付近に結露が起こりやすいのもデメリットといえるでしょう。
ペアガラスのアルミサッシは、現在の注文住宅でも普通に導入されています。しかし、断熱性にこだわった家づくりをしたい方にとっては、あまりおすすめできない窓のひとつです。
アルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシとは、基本はアルミでできていますが、室内側は樹脂でカバーされています。熱還流率は1.89W/(㎡・K)で、単板・ペアガラスのアルミサッシ窓に比べてかなり下がっているのが特徴です。
窓部分もペアガラスになっており、単板ガラスに比べて断熱性が高いのもメリットといえるでしょう。框(かまち)部分の温度に差が出ることで、体感温度にもかなりの違いが出ます。現在導入されている樹脂サッシに比べて、安価なのも大きなメリットです。
アルミサッシならではの耐久性・耐候性を備えながら、樹脂によって熱伝導を低くした、いいとこどりの窓といえます。
樹脂サッシ(ペアガラス)
樹脂サッシはその名のとおり、すべて樹脂で作られた窓です。熱還流率は1.56W/(㎡・K)で、とくに窓フレーム部分の熱伝導率が低いのが特徴といえるでしょう。窓だけでなく、フレーム付近の結露も発生しにくいとされています。
断熱性が高い窓として普及している樹脂サッシですが、アルミサッシやアルミ樹脂複合サッシに比べて、コストが高いのがデメリットです。導入する際には、それぞれのコストはもちろん、そのレベルの断熱が本当に必要かを見極めることが大切といえるでしょう。
樹脂サッシ(トリプルガラス)
高い断熱性を確保できるとして知られるのが、トリプルガラスの樹脂サッシです。ガラスを3枚使用することで、2つの空気の層をつくり、大幅に熱還流率を下げています。熱還流率は0.90W/(㎡・K)です。
窓はもちろん、フレーム部分も樹脂でできているので、熱伝導率が低いという特徴があります。家の快適性がかなり上がるだけでなく、結露がほぼ発生しないのもメリットです。快適な家づくりを考えるなら、トリプルガラスの樹脂サッシを導入するのもよいでしょう。
断熱性能と体感温度の違い
断熱性能は「断熱等性能等級」で表されます。等級は7段階ありますが、どんな違いがあるのかを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
ここからは、YKK APさんの品川・体感ショールームに設置されている、各断熱等級を実際に体感できる部屋をもとに、それぞれの等級と体感温度について解説していきます。
住宅全体の熱の逃げやすさを示すUA値(外皮平均熱貫流率=この数値が小さいほど断熱性が高い)とともに、詳しくみていきましょう。
等級2
断熱等級2の家は、1980年に制定された基準といわれており、断熱性能が低い家といっても過言ではありません。社長の平松が大工をしていた20年前に建てられた家では、等級2の家が一般的でした。ごく薄い断熱材が入っており、窓は単板のアルミサッシが用いられています。
等級2のUA値は1.67で、窓部分も触るとかなり冷たく、断熱性能が低いといえます。床部分も断熱性が低いため、触ると冷たいのが特徴です。
等級4
断熱等級4は、1999年の「次世代省エネ基準」に沿った断熱性能です。少し前には、省エネ基準の最高ランクとされていました。壁や天井、開口部にも断熱材が施され、窓は、アルミサッシのペアガラスが用いられています。
断熱等級4では、UA値が0.71とかなり低くなるのが特徴です。外気温が1℃で20℃設定のエアコンをつけていた場合、体感では少し肌寒いと感じる程度になります。窓部分は単板ガラスに比べて若干暖かさは保たれているものの、フレーム付近には結露が発生するでしょう。
断熱材が入っていても、窓部分の断熱性能が低いため、コールドドラフトという現象が起こりやすいのも特徴です。コールドドラフトにより下部分に冷えた空気がたまるため、なかなか暖かく感じられにくい家となります。
また、暖房室と非暖房室との差がかなり出てしまうため、暖房がないお風呂や脱衣所などでは、ヒートショックの危険も懸念される性能です。
等級5
断熱等級5は、2022年4月に新設された断熱等級です。等級4よりも高性能であり、ZEH基準相当がこれに当たります。アルミ樹脂複合フレーム窓が導入されており、2030年以降は義務化が決定しています。UA値は0.50となり、より熱が逃げにくい設計の家です。
外気温が1℃、20℃設定でエアコンをつけていた場合でも、足元も若干の暖かさが感じられます。アルミ樹脂複合フレーム窓のため、窓部分は冷たいと感じにくいですが、フレーム部分には結露が発生するので注意が必要です。
等級4と同じく、暖房室と非暖房室の温度差が大きいのもデメリットといえます。
等級6
断熱等級6は、2022年10月に新設されており、暖冷房エネルギーを約30%削減できる等級です。等級6・7は、樹脂サッシが標準になります。UA値は0.46です。
外気温1℃、20度設定のエアコンをつけていた場合でも、かなり暖かく感じられます。足元もほぼ冷たさを感じにくく、全体的に快適性が保たれているといえるでしょう。樹脂サッシのため、結露の発生もほぼありません。快適性のほか、結露部分の掃除を省きたい方におすすめの等級です。
暖房室・非暖房室の温度差はありますが、暖房している部屋のドアを開けるなどすれば、温度差がほぼ出にくいのも特徴といえます。
等級7
等級6と同じく、2022年の10月に新設された断熱等級7では、暖冷房消費量が約40%削減可能とされています。UA値は0.26となっています。厚い断熱材が施されているほか、トリプルガラスの樹脂サッシが導入されているのが特徴です。
外気温が1℃でエアコンをつけていた場合でも、窓ガラスには結露が発生しません。体感でも十分に暖かいと感じられます。暖房室・非暖房室の温度差も、非常に小さくなっているのも特徴です。
床や壁の断熱材はもちろん、窓の性能も家全体の断熱性能に大きな影響を与えます。熱が逃げる原因の多くは窓のため、断熱性能にこだわるなら窓選びが非常に重要なのです。
注文住宅の窓選びのポイント
注文住宅の窓選びで後悔しないためには、住んでいる地域に合わせた窓選びも非常に重要です。断熱性が高い窓の家では快適性が確保されますが、冬に暖房を使わない沖縄などでは、高い性能にこだわる必要はありません。
ここからは、注文住宅の窓選びのポイントについてご紹介します。光熱費を削減しながら1年中快適性に優れた家にしたい方、住んでいる地域に合わせて適切な窓を選びたい方はぜひ参考にしてください。
快適性と光熱費のバランス
前述したように、家の断熱性と窓には深い関係があります。窓の性能が高ければ高いほど、寒さや結露などの問題を解決できるでしょう。
性能の高い窓を導入して家の断熱性を上げれば、光熱費の削減にもつながります。樹脂サッシやトリプルガラスの窓は高価になりますが、電気代の削減になり、長期的なコスト削減が期待できるのです。
また、窓の性能が高ければ、結露によるカビの発生や屋内でのヒートショックの防止にも繋がるでしょう。
建築する地域
建築する地域によっては、トリプルガラス樹脂サッシの窓を導入してもあまり効果を発揮できません。とくに沖縄など暖房を使わない温暖地では、トリプルガラスは必要ないといってもよいでしょう。
一方で、鹿児島でも暖房を使う場合には、家の快適性を保つためにトリプルガラスを用いるケースがあります。また、寒冷地や結露対策が重要な地域ではトリプルガラスが欠かせないといえるでしょう。
家の性能だけでなく、家を建てる地域の気候を加味しながら窓を選ぶことも大切です。
樹脂サッシの耐久性
樹脂サッシには、ポリ塩化ビニール樹脂が使用されています。ポリ塩化ビニール樹脂は配管や車の部品として用いられる素材です。
アルミサッシに比べて耐久性を心配する方もいらっしゃいますが、耐久テストをクリアしているものなので、心配はありません。耐久試験では、30年間何度も開け閉めをしても問題がないレベルとの結果も報告されているため、安心して導入できる窓といえます。
断熱性能を高めるためには、断熱材も非常に重要です。こちらの記事では、断熱材の種類と特徴を紹介するとともに、ハウスメーカー・工務店によっておすすめの断熱材が異なる理由も解説しています。
まとめ
注文住宅の断熱性を保つためには、窓選びは非常に重要です。後悔しないように、それぞれの窓についての知識を正しく知っておくとともに、これから住む家にどれくらいの快適性をのぞむのかをしっかりと考えましょう。
近年導入されている樹脂サッシは、費用的には高価になりますが、光熱費削減に非常に効果的です。とくに光熱費の高騰が叫ばれている昨今では、ランニングコストを視野に入れて導入するケースも増えています。
平松建設では、どんな家にしたいか、どれくらいの快適性を確保したいかなどもしっかりとお聞きしながら、お客様に合わせたご提案を行っております。まずはお気軽にご相談ください。